ほんとに健康的?
「カロリーゼロ」の裏に合成甘味料あり
「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の裏にひそむ合成甘味料
前回の記事で、「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」と書かれていても実はゼロではない場合がある、という食品表示の問題についてお話ししました。今回は、その「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」という表示のある食品や飲料に使われていることの多い、甘味料について探ってみたいと思います。
例えば清涼飲料水やスポーツドリンクなどで、「カロリーゼロ・低カロリー」や「糖類ゼロ・糖類ひかえめ」を前面に出して、健康的なイメージで売られているものはたくさんありますよね。こうした飲料は、カロリーや糖類を抑えるため、砂糖の代わりに合成甘味料を使っている場合がほとんどです。そうした商品の原材料表示の一例を見てみましょう。
上記のような商品の原材料に含まれる甘味料(赤字)は、化学的に合成された合成甘味料。食品衛生法に基づき、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定する指定添加物に該当します。
合成甘味料は、砂糖の数百倍の甘さを持つ高甘味度甘味料。少量で強い甘みを作れるので、食品メーカーではコスト削減のために以前から使用されてきました。近年では消費者の健康ブームや低カロリー志向に合わせ、強い甘味で使用量を抑えて低カロリーを実現できる合成甘味料を使った商品が多く登場しています。
化学的な合成による「砂糖の200~600倍の甘味」という驚くべき数字
代表的な合成甘味料の特徴を見てみると…
■アセスルファムK(アセスルファムカリウム)
酢酸由来のジケテンと酸性洗浄剤などとして利用されているスルファミン酸を合成反応させた後に、三酸化硫黄を反応させ、水酸化カリウムで中和、結晶化したもの。
甘味度は砂糖の200倍で、日本国内では使用食品ごとに使用基準が設定されています(例:清涼飲料水の場合は、食品1kg当たり最大限度0.50g)。
■スクラロース
砂糖を原料とする甘味料で、砂糖の3カ所の水酸基を選択的に塩素原子に置換することにより生成されます。
甘味度は砂糖の600倍で、日本国内では使用食品ごとに使用基準が設定されています(例:清涼飲料水の場合は、食品1kg当たり最大限度0.40g)。
■アスパルテーム
アスパラギン酸とフェニルアラニンの2種類のアミノ酸を結合させて製造されるアミノ酸系甘味料です。
甘味度は砂糖の200倍あります。日本国内では使用基準は設定されていませんが、食品添加物の安全性評価を行う国際機関であるJECFAでは、1日当たりの摂取許容量を体重1kg当たり0~40㎎と設定しています。
また最近では、2007年にネオテーム(砂糖の7,000~13,000倍の甘味)、2014年にアドバンテーム(砂糖の14,000倍~48,000倍の甘味)といった新しい甘味料の使用が許可されたそうです。これらは、高甘味度甘味料よりもさらに少ない量で甘味を感じる超高甘味度甘味料です。
本当の意味で「健康的」なものって?をいつも考えたい
糖尿病の人や糖質制限をしている人、生活習慣病のためにダイエットをしている人などにとっては、低カロリーで甘いものを摂る手段として、合成甘味料はよい面もあると受けとめられるかもしれません。しかし、合成甘味料はあくまでも「添加物」。国の認可は受けているというものの、口に入れる私たちが、常にその内容や量などを意識していたほうがよいことはいうまでもないですよね。
例えばアスパルテームには「L-フェニルアラニン」が含まれ、この物質を代謝できないフェニルケトン尿症の子どもが摂取すると脳に障害が起こる恐れがあることなどは、知っておきたい情報です。また、子どもが口にする場合、小さなうちから人工的な甘味に慣れてしまうことの怖さも気にしたいところ。甘い飲料を摂りすぎるとそれだけで満足感が出てしまい、その分食事が食べられなくなるなどの問題もあります。
上記の表の「Cコーラ」は、食事の際に脂肪の吸収を抑えるとされる難消化性デキストリンを配合しているため特定保健用食品(いわゆるトクホ)の飲料ですが、一方で、多種類の合成甘味料を使っているなど気になる点もいろいろ。
生活クラブでは、「安全性に不安のあるものや不要なものは使わない」という考えに基づき、消費材での合成甘味料の使用は禁止しています。毎日口に入れて、体を形づくっていく食品や飲料。「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」「トクホ」などの言葉によるイメージだけで判断するのでなく、原材料表示をしっかり確認するなどしながら、本当の意味で「健康的な食・健康的な生活」をいつも考えていくようにしたいですね。
参考
●東京都健康安全研究センター広報誌「くらしの健康」第28号(2014年12月)「最近使われている甘味料について」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/archive/issue/kouhoushi/health/
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kouhoushi/health/28.pdf
●独立行政法人 農畜産業振興機構 調査報告「近年における人工甘味料の動向」(2014年2月)
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000878.html
●生活クラブの「知っててよかった!添加物のはなし」(電子ブックが開きます)
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