「昔の病気」が増えているのはなぜ?正しい知識で楽しくおおらかな食卓を!
乳幼児の「くる病」をご存知ですか?
「くる病」について、テレビでも取り上げられているのでご存じの方も多いと思います。乳幼児の成長期に、ビタミンDが不足することで骨へのカルシウムの沈着が不十分になり、骨格の変形が起きてしまう病気です。
食料事情が悪かった昔によく見られたので、現代では珍しい病気のように思われています。ところが近年、この病気が増加傾向にあるということです。食料が豊富にある今、なぜ「くる病」が増えているのでしょうか。
原因として考えられているのは3点です。
(1)日光不足過度の直射日光が皮膚がんの原因の一つだと知られるようになり、なるべく太陽に当たりたくないと考える方が増えています。外出のとき、お母さんはもちろん、赤ちゃんにも日焼け止めを塗り、帽子を深くかぶって太陽の光を最大限にガードする方もいるでしょう。ところが、ビタミンDは食事からの摂取だけでなく、皮膚が日光に当たることで体内で合成されるのです。適度な日光浴は、健康のために必要なことなのです。
(2)母乳だけの栄養が長すぎる母乳は、赤ちゃんにとって必要な栄養素が豊富に含まれていて、母子の絆にも大切です。でも母乳だけではビタミンDは不足ぎみなので、適度な日光浴や食事から摂取することも大事です。母乳育児を長く続けてなかなか離乳食に進まなかった赤ちゃんが、「くる病」になってしまうケースがあるということです。離乳が始まる5~6ヶ月頃には離乳食を始めて、アレルギーに注意はしながら、卵黄やしらすなどのいろいろな食材にチャレンジしましょう。
(3)食事の偏り若い世代の女性は、ダイエットや肌の白さを気にしすぎるあまり、食事の制限や日光の避けすぎで、カルシウムやビタミンDが不足しがちです。赤ちゃんを産み、育てる時期を迎える前から、カルシウムやビタミンDの豊富な食材(小魚や鮭、鶏卵など)を野菜と食べる習慣を身につけておくべきでしょう。こうした習慣を持つことが、赤ちゃんの栄養状態を支えることになります。赤ちゃんだけでなく、出産・育児の時期を通じて、お母さん自身の食事も充実させることが大事なのです。
正しい知識とおおらかな考えで、心も体も健康に!
食べ物や栄養、病気についての情報は、テレビや雑誌、ネットなど身の回りに溢れていて、何が正しいのかの判断も難しいものです。これまでも、テレビを通じて「○○が体に良い!」などと言われ、特定の食材がブームになるようなことが繰り返されてきました。
何か一つの食材や栄養素だけで、病気を防いだり健康になったりすることはありません。また日光浴とビタミンDの関係からわかるように、一つの害があるからといってそれを極端に避けすぎるのも、別の害につながってしまう可能性があります。足りない栄養はサプリメントで摂れば安心、などと安易に考えるのもよくないでしょう。過剰摂取やサプリメントの品質の問題だってあります。
食料の豊富な今、乳幼児の「くる病」が増えていることは、食事と栄養についての正しい知識が根付いておらず、身の回りの不確かな情報に振り回されがちなことにも関係があるように思えます。
不確かな情報に惑わされず、良質の食材をバランスよく使った食事を一番大事にすることが、赤ちゃんから大人まで、すべての人の健康の基本です。
とはいえ、「正しい知識!」なんて窮屈に受け取りすぎてしまうのも考えもの。「気持ちの健康」も失ってしまっては本末転倒です!生活クラブの「ビオサポ」は、少しの工夫で楽しく・バランスよく・健康になれる食卓をサポートします。これからもいろんなレシピと献立を紹介していきますね!
【参考】乳幼児の“くる病”にご注意!(2013年の記事「NHKニュース おはよう日本」 NHKのホームページに移ります)
増えるビタミンD欠乏症 多い乳幼児、骨に異常も 食物制限などが影響(2008年の記事 「最新医療情報」 共同通信社のホームページに移ります)
日本人正常新生児にはビタミンD欠乏症が高頻度に見られ、母乳栄養児で特に改善が遅れる(2008年の記事 京都大学のホームページに移ります)