ゆっくり食べよう、よく噛んで食べよう
「早食いは太りやすい」って本当?
みなさんは、食べるのが速い方ですか?遅い方ですか?「学校の給食やお弁当の時間、いつも食べ終わるのが最後の方だった…」なんていうかたもいるかもしれませんね。
さて「早食いの人は太りやすい」なんてよく言われたりしますが、本当にそうなのでしょうか?実は、これは本当のことなんです。厚労省の「平成21年国民健康・栄養調査」でこのことについて調べたデータがあります。食べる速さと、BMI(体格指数:「体重kg÷身長m÷身長m」25以上で肥満と判定)の関係を調べたものです。
【出典】
厚生労働省のウェブサイト「平成21年国民健康・栄養調査報告」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h21-houkoku.html
「結果の概要 p.27~p.54」 の39ページ(PDFファイル)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h21-houkoku-06.pdf
これを見ると、肥満(BMI25以上)の人の方が肥満でない人に比べ、「食べるのが速い」と回答する割合が高いことがわかります。他にも、早食いの習慣がある人ほど肥満度が高いという研究報告もあります。
よく噛んでゆっくり食べることが大切
では、なぜ早食いは肥満につながるのでしょうか。理由のひとつとして指摘されているのは、脳の満腹中枢との関係です。脳の満腹中枢が「おなかいっぱい」と感じるまでには一定の時間がかかるので、食べるのが速いと、脳が満腹を感じる前に食べ過ぎてしまいやすいと考えられるのです。
早食いにならないようにするためには、何よりもよく噛んで食べることが大事ですよね。よく噛んで食べると、満腹のサインが脳に伝わりやすく食欲が抑えられるとも言われます。食べる速さを遅くすればただちに肥満が改善する、とまでは言い切れませんが、ゆっくりよく噛むことは肥満対策の治療法のひとつとしても取り入れられているのです。
噛みごたえのある食材を多くするなどの工夫を
健康のためにも、食事はよく噛んで、ゆっくり食べたいもの。でも、毎日の食事がやわらかいもの、食べやすいものばかりでは、よく噛むという習慣は実践できません。
現代の私たちの食事は、昔に比べてやわらかい料理が多いと言われます。特に、カレーライスやハンバーグ、スパゲティなど、子どもの好きな料理には、噛む回数が少なくても食べられるようなやわらかい料理が多い気がしますよね。実際、現代人の食事における咀嚼回数は戦前と比べても減っているし、弥生時代などと比べたら激減しているという研究もあるそうなんです。
カレーライスやハンバーグなどがダメというわけではありませんが、噛む回数を増やすためには、噛みごたえのある食材を食事に取り入れていくことも心がけたいですね。例えば、食物繊維の多い野菜類や海藻類、きのこ類、乾物、豆類などはおすすめです。食物繊維を多く含む食品については、ビオサポ記事「ダイエットと食物繊維」もぜひ参考にしてください。
どんぶりものや麺類、お茶漬けなどは早食いになりやすい料理なので気をつけましょう。
そして、食材や料理の内容に気をつけるのはもちろんですが、「よく噛んで、時間をかけて食べよう」と意識することも大切。テレビを見ながら、スマホをいじりながら、などのながら食べでは、食事をすることや噛むことに集中できません。食べ物のおいしさを時間をかけて味わい、食事の時間をしっかり楽しむことが、健康にもつながるということ。ぜひ、毎日実践したいですよね。(^o^)/
参考
●厚生労働省e-ヘルスネット「早食いと肥満の関係 -食べ物をよく『噛むこと』『噛めること』」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-10-002.html
●農林水産省「みんなの食育『ゆっくり食べる』」
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html
●東京都福祉保健局「歯と口の健康からはじめる 食育サポートブック」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/iryo_hoken/shikahoken/pamphlet/shokuiku.html
食育サポートブック【P62~P75】のP62のデータ等