いろいろな魚のおいしさに出会いたい! 漁獲量が増えている「にしん」に注目
先日実家の台所の片づけをしていたら、古い湯吞みが出てきました。魚へんの漢字がぎっしり書かれた、そう、お寿司屋さんでよく使われているアレです!
そういえば昔家族が使っていたな~と懐かしく眺めましたが、あらためて見ると、鯛(たい)、鯖(さば)、鱈(たら)、鰹(かつお)、鮎(あゆ)…日本には魚へんの文字が本当にたくさんありますよね。これらの魚へんの漢字、実は日本でつくられた文字も多いのだそうです。日本人が昔から魚に親しんできたことを表しているのかもしれません。
今日はその中でも、ちょっと注目したい魚についての話題です!
<目次>
・日本ではどんな魚が食べられている?
・近年漁獲量が増えている魚・にしんに注目!
・にしんにはさまざまな栄養がたっぷり
・おすすめ! にしんの惣菜やオリジナルレシピ
日本ではどんな魚が食べられている?
日本は多様な生き物が住む豊かな海に囲まれていて、生鮮魚介類は身近な食べものですね。古くは地域によって獲れる魚介も違いましたが、最近では沖合で獲れたものが冷凍・冷蔵技術と流通の発達で遠方まで運ばれるなど、遠くの海で獲れる魚も手に入りやすくなり、食卓には幅広い種類の魚が上がるようになりました。みなさんは普段、どんな魚をよく食べますか?図1は、ここ30年ぐらいの「日本人がよく食べる魚」の変化を表しています。水産物はそもそも、漁獲量やよく獲れる種類が変わりやすいのが特徴。それに加えて、加工しやすい魚の消費が増えていることが、変化の背景にあるようです。ただし図2のように、全体として見ると魚を食べる量は近年低下しています。
図1:日本人がよく食べる生鮮魚介類の変化
平成4(1992)年 |
平成14(2002)年 |
平成24(2012)年 |
令和4(2022)年 |
|
1位 |
イカ |
イカ |
サケ |
サケ |
2位 |
エビ |
マグロ |
イカ |
マグロ |
3位 |
マグロ |
サケ |
マグロ |
ブリ |
サンマ |
サンマ |
ブリ |
エビ |
|
アジ |
エビ |
エビ |
イカ |
図2:食用魚介類及び肉類の1人1年当たり消費量の推移
近年漁獲量が増えている魚・にしんに注目!
近ごろはサンマ、スルメイカ、サケなど、昔はたくさん獲れ、よく食べられていた魚の不漁が深刻だと聞きます。海洋環境の変化や、漁業に携わる人の減少も関係しているようですね。でもそんな中、近年漁獲量が回復している魚があることをご存じですか? そのひとつが「にしん」です。にしんは、明治から昭和中期にかけての最盛期には100万トン近くもの漁獲量があり、豊漁の様子は今でも語り継がれるほどですが、昭和中期以降は急減してしまい、食べられることも減っていました。ところが近年その漁獲量が増えてきています。背景には、稚魚の放流など資源回復に向けての取り組みがあります。
そんなにしん、みなさんは食べたことがあるでしょうか?
にしんにはさまざまな栄養がたっぷり!
魚が食べられなくなっている今、漁獲量が増えている魚、にしん。ぜひ注目して、獲れたものを無駄なく活用し、おいしく食べていきたいですよね。そこでまずは、にしんに含まれる栄養を見てみましょう。必須脂肪酸のEPAやDHAは、「まさば」や「まいわし」同様、にしんにも豊富に含まれています。また、カルシウムの吸収を助け、筋力の維持にも関わるビタミンDは、さけに豊富に含まれていることで知られますが、にしんにも多く含まれています。他にもたんぱく質や鉄などが、にしんにも十分含まれていることがわかりますね。
魚に含まれる主な栄養素
たんぱく質(g) |
脂質(mg) |
鉄(mg) |
ビタミンD(μg) |
||
EPA |
DHA |
||||
にしん生 |
17.4 |
880 |
770 |
1.0 |
22.0 |
身欠きにしん |
20.9 |
760 |
590 |
1.5 |
50.0 |
まさば |
20.6 |
690 |
970 |
1.2 |
5.1 |
まいわし |
19.2 |
780 |
870 |
2.1 |
32.0 |
さけ |
22.3 |
240 |
460 |
0.5 |
32.0 |
おすすめ!にしんの惣菜やオリジナルレシピ
栄養も豊富なにしん、「食べてみたいけど調理が難しそう…」という方には、にしんを使った惣菜や、食べやすく加工した半調理品が手軽でおすすめです。生活クラブではさまざまなにしんの惣菜をラインナップしていますよ。 美食百彩 にしんと昆布の煮付け 食べやすさと栄養バランスに配慮した「美食百彩」シリーズの惣菜。加圧調理されていて骨までやわらか! |
北海道産にしん蒲焼丼の具 粉付けまでされているので、冷凍のままフライパンで揚げ焼きして添付のタレを絡めてご飯にのせるだけ。とても手軽です! |
やわらかにしん小樽炊き 箸でほぐせるほどやわらかで、骨ごと食べられます。にしんそばにも便利です。 |
そのまま食べられる北海道産にしんの醤油漬 解凍してそのままご飯のおともや酒の肴に。冷凍で約半年間保存でき、いつでも使えるので助かります。 |
数の子や甘露煮にとどまらない、にしんのおいしさが味わえます。
■塩にしんのソテー フレッシュトマトソース添え
そのまま焼くだけでもおいしい「香深産塩にしん切り身」に、ひと手間加えて洋風に。トマトソースがにしんによく合います。
アレンジしやすい にしんの消費材 香深産塩にしん切り身
■大豆とにしんの炊 き込みご飯
「やわらかにしん小樽炊き」を具材に、煮汁も利用して調味するのでとても簡単!
いかがですか?魚は種類によって、味わいにも栄養にもそれぞれ特徴があります。多様な魚が獲れる豊かな環境に住む私たち、食卓でいろいろな種類の魚を楽しみたいですね。ぜひ、にしんの料理もレパートリーに加えてみてください!
【参考】
●「令和5年度水産白書」水産庁
第1部水産の動向 第1章 我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き (2)水産物消費の状況
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r05_h/trend/1/t1_1_2.html
第1部水産の動向 特集 海業による漁村の活性化 第1節 漁村をめぐる現状と役割 (1)漁業生産、水産物消費等水産業をめぐる状況
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r05_h/trend/1/t1_f_1_1.html
●「図で見る日本の水産」水産庁(令和5年12月)
https://www.maff.go.jp/j/pr/annual/pdf/zudemiru_nihon_nosuisan1.pdf
●「令和5年度魚種別資源評価」国立研究開発法人 国立研究開発法人水産研究・教育機構
https://abchan.fra.go.jp/hyouka/doc2023/
https://abchan.fra.go.jp/wpt/wp-content/uploads/2024/03/details_2023_23.pdf