健康のために摂取したい「ビタミン」、どうすれば足りるの?
健康のために、毎日の食生活で「ビタミンを摂る」ことを心がけている方は多いと思います。最近は、食事以外のサプリメントなどの健康食品でビタミンを摂取しているという人も多いようです。私の友人も、「ビタミン○」「マルチビタミン」などのサプリメントを利用している人がちらほら。
今回は、そんなビタミンの摂り方について考えてみましょう。
<目次>
- ・そのビタミンは必要ですか?
- ・いろいろな食材を食べることの大切さ
- ・バランスの決め手は日本型食生活
- ・普段食べる食品からこれだけビタミンは摂れる
- ・日々の食事で栄養バランスをととのえていこう
そのビタミンは必要ですか?
厚生労働省による国民健康栄養調査(令和元年)で、健康食品の摂取状況を調べたデータがあります。それによると、「サプリメントのような健康食品を食べたり、飲んだりしていますか」という問いに対して、「はい」と答えた人の割合が一番多いのは60代だったそうです。その割合は男性34.1%、女性41.1%。つまり、60代では3人に1人以上が健康食品を摂取しているということ!健康食品は身近な存在となっていて、いろいろな種類の商品が流通しています。しかし、「ビタミンをどれぐらい摂ればいいか?」についての情報は普及していないように思われます。何の栄養素が自分に足りていないのか、食事の他にあとどれぐらい摂ればいいのか、実際にはわからないまま、成分を凝縮させた健康食品を摂取している、そんな状況になっていないでしょうか?
いろいろな食材を食べることの大切さ
栄養バランスを整えるためには、「いろいろな食材を食べること」が大事です。高齢者の食事と栄養状態を調べたある調査では、いろいろな食材を食べている人ほど、たんぱく質摂取量と、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素の摂取量が大幅に多い結果となったことが報告されています。この調査を行なった研究所からは、いろいろな食材を食べるために、こんな提唱も。次に挙げる「10の食品群のそれぞれから」「1日に7点以上食べる」ことを目標とする方法です。
- ■たんぱく質源となるもの:肉類 魚介類 卵類 大豆・大豆製品 牛乳
- ■ビタミンやミネラルの供給源となるもの:緑黄色野菜 海藻 いも類 果物類 油脂類
今の食生活の中で、実際にこの10品目のうちどれだけの種類を食べているか、一定期間記録してみるといいですね。不足しがちな食品群や、食材の選び方の偏りがわかり、食事バランスの向上につながりそうです。
バランスの決め手は日本型食生活
毎日の食事の中でどうしたらいろいろな食材を取り入れることができると思いますか?そのヒントは「日本型食生活」にあります。ごはんを中心に、魚、肉、牛乳・乳製品、野菜、海藻、豆類、果物、茶など多様な副食などを組み合わせた食生活のこと。おかずは和食に限らず、ハンバーグなどの洋食や乳製品などを組み合わせても。日本型食生活は、いろいろな食品を取り入れやすいスタイルです。全部を手づくりしなくても、出来合いの惣菜や冷凍食品、レトルト食品、「麻婆豆腐ソース」や「炊き込みご飯の素」といった料理の素などを取り入れればOK。無理なく食卓を豊かにしたいものです。
普段食べる食品からこれだけビタミンは摂れる
普段の食事からビタミンが十分に摂れればいいですよね。そのことがわかる調査を生活クラブが行なっています。2023年度は水産加工品の消費材にビタミンDがどれだけ含まれているかを分析しました。水産加工品のビタミンD含有量
消費材名 | 1食あたりの含有量 | 一日の目安量との比較 8.5㎍/30~49 歳(男女) |
---|---|---|
いわし柔らか梅煮 | 2.38㎍/35g(1尾) | 1尾で28% |
長崎じゃこ天 | 2.3㎍/50g(1枚) | 1枚で27% |
いわしだんご | 2.01㎍/30g(1個) | 1個で23% |
焼きほぐし鮭 | 1.62㎍/15g (約大さじ1と1/2) |
約1食分で19% |
一日の目安量と比較して、一食分で19~28%をこれらの消費材で摂れるという結果に。そして大事なポイントは、魚そのものではなく水産加工品からもこれだけのビタミンDが摂取できるということ。これは手軽でありがたいですよね!(※試験は一検体で行なったため、参考値としてご覧ください)
日々の食事で栄養バランスをととのえていこう
ビタミンをはじめとした栄養素は、いろいろな食材を食べるようにすれば自然と十分摂ることにつながります。多種多様な食材を取り入れやすい「日本型食生活」。手軽な加工食品も上手に使いながら、ぜひ実践したいですね。【サプリメント等の健康食品について】
※サプリメント等のいわゆる健康食品摂取の注意点については「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所」の「健康食品」安全性・有効性情報サイトに記載があります。過剰摂取や、薬を服用していた場合の影響、違法に医薬品成分が加えられている場合、意図しない成分が入っている危険性、成分の量が記載されていない例など、利用する際には充分な注意が必要であることが示されています。
→「健康食品」安全性・有効性情報サイト_国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
https://hfnet.nibiohn.go.jp/column/
【参考】
●「令和元年国民健康・栄養調査報告」P42_厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html
●「高齢糖尿病患者における食品摂取多様性とフレイルの関連」_地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所
https://www.tmghig.jp/research/topics/202401-15268/
●介護予防・フレイル予防ポータル_東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kaigo_frailty_yobo/index.html
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kaigo_frailty_yobo/yobou/point_eiyo/02.html
●「日本型食生活」の特徴_農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/nihon_syoku.html