一般社団法人Jミルクのデータによると、日本の牛乳の年間1人あたり消費量は1994年をピークに減少傾向をたどっています。1994年には平均で年間1人あたり34.7リットルの牛乳を消費していたのが、2019年には25.0リットルにまで減っています。高齢化や、飲みもののバラエティが増えたことなど、理由はいろいろとあるようです。しかし、時代が代わっても牛乳の食品としての価値の高さは変わりません。今回は、牛乳の栄養的価値をあらためて見直してみたいと思います。
牛乳は栄養的には「食事」の一部
「何をどれだけ食べたらよいか」という食生活のバランスを考えるときに、その目安になる「食事バランスガイド」。日常の食事を5つの料理グループに分けて、コマの形で表しています。この中で「牛乳・乳製品」は、主食、主菜、副菜と並んで、食事バランスを整える食べ物として大きなカテゴリーのひとつに位置づけられています。例えば「水、お茶」はコマの軸の部分、ジュースなどの「嗜好飲料」はコマを回す紐の部分で表現されているのと比べると、牛乳が食品として重要であることを示しています。牛乳はカルシウムの主要な供給源であるとともに、他の多くの栄養素も含むのが特徴。飲料の姿をしていても、水分補給やお楽しみではなく、栄養素を豊富に摂取できる「食品」なのです。骨や歯、体全体の健康のためにもカルシウムは大切
牛乳にはカルシウムが豊富に含まれますが、カルシウムの重要性をおさらいしておきましょう。人間の骨量のピークは男性で20歳前後、女性で18歳前後と言われています。つまり10代半ばから後半にかけては、まだまだ骨の蓄積をしなければいけない大切な時期。ところが調査によると、義務教育を終えた15歳以上のカルシウム摂取量は目立って減ります。学校給食で牛乳を飲む機会がなくなってしまう年代だからだと考えられます。成長期のカルシウムの摂取は、将来の骨の健康にも関係してきます。高齢になって介護が必要となるきっかけのひとつとしてあげられるのが、骨折・転倒。その予防のためには、骨の育つ時期にカルシウムを十分に摂り、骨量を増やしておくことが大切なんですね。
骨のためばかりではありません。体内のカルシウムの99%は骨や歯にありますが、残りの1%は血液や細胞外液に含まれます。そして、血液の凝固や筋収縮など体内で重要な生理機能の調節を担っています。このため血中のカルシウム濃度は細かく調整されており、骨は調整のための貯蔵庫ともいえる役割を果たしているのです。不足すると高血圧や動脈硬化を招いてしまうこともあるそうです。
必要量のカルシウムを摂るために「もう1杯の牛乳」を
このように、私たちの体にとても大切なカルシウムですが、多くの人が、骨量を維持するために必要な量を摂取できていません。現状の摂取量の平均値は、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』で推奨される量に届いていないのです。その差は、女性の場合でコップ1杯、男性ではコップ1杯半の牛乳に含まれるカルシウムと同じくらいの量。牛乳に含まれるカルシウムは、同じくカルシウムの摂取源である小魚や野菜と比べて吸収率が高いのも特徴です。必要な量のカルシウムを補うためにも、毎日の生活に「もう1杯の牛乳」を取り入れていきたいですね。良質なたんぱく質やビタミンも含まれるスグレモノ
牛乳は、カルシウムだけでなく、たんぱく質を摂るためにもよい食品です。特に牛乳に含まれるたんぱく質は、体が必要とするアミノ酸をバランスよく含んでいるのが特徴。また、体内の多くの代謝に関わり正常な発育に欠かせないビタミンB2や、植物性食品にはほとんど含まれていないビタミンB12は、コップ1杯の牛乳で1日の推奨量の1/4を摂取できるぐらい含まれています。脂質が気になる人のたんぱく質源としても、牛乳はおすすめです。牛乳に含まれる脂質の割合は3.8%ほどで、他のたんぱく質の摂取源となる食品と比べても高い値ではありません。普通牛乳であるか低脂肪牛乳であるかにかかわらず、牛乳の摂取は肥満に関連しないとの報告もあるそうですよ。
生活クラブのパスチャライズド牛乳をおすすめする理由
私たちの食生活に欠かせない牛乳。毎日口にするものだから、安心しておいしく飲めるものがよいですね。一般に流通している牛乳のほとんどは120~150℃まで加熱する殺菌法でつくられていますが、生活クラブのパスチャライズド牛乳は、72℃15秒の加熱で人体に有害な菌だけを殺菌します。このパスチャライズド製法は、熱による成分の変性が少なく、牛乳が本来もつ、さらっとしてほんのり甘みのあるおいしさが味わえるのです。この製法で牛乳を生産するためには、質のよい生乳が欠かせません。生活クラブの提携酪農家は、牛乳工場から近い場所で牛の健康と衛生を大切にした飼育環境を守った生産をしています。牛の飼料についても、生活クラブ独自の厳しい基準による安全性と環境に配慮したものを与えて育てています。組合員の手元に届くまでの過程も価格の内訳も、きちんと分かります。こうした生産者の努力すべてが、安心して飲めるおいしさにつながっているのです。
しかしニュースでも目にするとおり、飼料の高騰をはじめとした世界的な情勢の変化により、今、酪農経営は危機的な状況にあります。生活クラブの提携酪農家も例外ではありません。生活クラブの牛乳のために手間をかけて特別な条件で生産している酪農家が、これからも生産を続けられるように、生活クラブでは4月から牛乳応援基金も始めています。これからも飲み続けたい牛乳だからこそ、飲むことで支援し、未来につなげていきたいですね。
生活クラブの牛乳についての詳しい情報もぜひご覧ください。
https://seikatsuclub.coop/item/milk/3948.html
生活クラブの牛乳の価格と牛乳応援基金についての解説はこちらから。
https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=1000002195
さまざまなおいしさで楽しみたい“牛乳習慣”
朝の食卓では定番の牛乳ですが、おやつにもおすすめです。小腹がすいたとき牛乳を1杯飲むと、甘いもののセーブに役立つというメリットもありそう。運動後の牛乳が熱中症予防に役立つという報告もありますが、自分の好きなときに飲むのが一番。お気に入りのミルクタイムを設けてみてください。そのまま飲むだけでなく、何かを加えてアレンジするのもいいですね。ヨーグルトやアイスクリームを混ぜてみたり、クリームコーンの缶詰でコーンスープにしたり、トマトジュースと割って楽しむ人もいます。大人向けには、焼酎やウイスキーなどを割ってみるのも意外なおいしさです。料理の素材としても、洋食に限らず活躍してくれます。
ビオサポレシピサイトには、牛乳を使った料理のレシピもたくさん。いくつかご紹介します。お気に入りの飲み方・食べ方を見つけて楽しみながら、健康につながる牛乳習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【アレンジしておいしさ広がる!牛乳を使ったドリンク】
■牛乳のアレンジドリンク
■レモンラッシー
■ミックスジュース
【牛乳は洋食にも和食にもおやつにも大活躍!】
■たっぷり野菜のミルク味噌スープ
■メイン材料は3つ!じゃがいものミルクグラタン
■冷やし肉みそミルクうどん
■乳和食の肉じゃが
■牛乳もち
【参考】
●一般社団法人JミルクHP「酪農乳業参考データ」
https://www.j-milk.jp/gyokai/database/raku_nyu-sanko.html
●一般社団法人Jミルク_ファクトブック
「カルシウムのすべて」
https://www.j-milk.jp/report/study/h4ogb4000000120r-att/h4ogb40000001234.pdf
「栄養とSDGsと牛乳・乳製品」
https://www.j-milk.jp/report/study/h4ogb40000006tec.html
●農林水産省HP「食事バランスガイド」の適量と料理区分
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kenzensyokuseikatsu/about_b_guide.html#kubun
●令和元年国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
●平成30年版高齢社会白書(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html#
●国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「カルシウムについて」
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/pdf/k030.pdf
●「日本人の食事摂取基準(2020年版)」P278カルシウム