もっとプラスしたい! 野菜を取り入れるヒント
足りない野菜量は毎日「小鉢1つ分」
「国民健康・栄養調査」(令和元年・厚生労働省)によると、20歳以上の大人の野菜摂取量の平均は280.5g。「健康日本21(第2次)」が目標とする、成人の1日あたりの野菜の摂取目標量は350gなので、少しだけ届きません。目標量と現状の野菜摂取量の平均値の差は「約70g」で、これは食事にすると副菜の小鉢1つ分くらいの量。今よりも、毎日1皿分ほど野菜を増やしたいところです。小さな工夫で野菜をもっと食卓に!
では具体的に、毎日小鉢1つ分の野菜を食生活にプラスするにはどうすればいいのでしょう? 各地の生活クラブで行なっているビオサポ講座の参加者アンケートでも、「ふだん食事づくりで困ることは何ですか?」という質問に対して多く寄せられるのは「副菜のレパートリーが少ない」「野菜のおかずがマンネリ化してしまう」という悩みの声。そこで、忙しい毎日のなかで野菜をもっと食べるためのヒントとなりそうな方法を集めてみました。日々の食事づくりに取り入れられるものがあればいいなと思います!
①「材料の組み合わせ」×「調理法」でレパートリーを広げる
野菜のおかずがマンネリ化しているな…と感じたら、調理法や材料をいつもと少し変えてみませんか? 家にある野菜を出発点に、いつも生で食べることが多いなら別の調理法を考えてみる、洋風の味つけが多いなら和風や中華風にしてみる、などを意識してみると、野菜料理のバリエーションが広がります。
<調理法>
生、ゆでる、煮る、焼く、炒める、蒸す、揚げるなどの調理法があります。合わせる献立と重ならないものを選んだり、「前回は炒めたから今回は蒸し料理で」などと変えたりするといいですね。また、サラダのイメージの強いレタス、きゅうり、トマト、セロリなどの野菜は、汁ものや炒め物などの加熱調理にもよく合います。使い方を広げてみても。
<合わせる食材>
野菜と他の食材の組み合わせを楽しみながら一品増やすのも手です。「たんぱく質(肉、魚、卵、大豆、乳製品)」×「緑黄色野菜(青菜、人参、ブロッコリーなど)」×「その他の野菜(キャベツ、白菜、大根など)」を組み合わせると味も栄養も彩りもよくなります。
②みそ汁は野菜料理の万能選手
野菜をたくさん食べたいときは、みそ汁やスープなどの汁ものがおすすめです。加熱するとやわらかく、カサが減って食べやすくなります。だしを合わせたり、魚や肉などのたんぱく質と取り合わせると旨みも増して食べごたえがアップ。また、水に溶ける性質のあるカリウムや水溶性のビタミンも逃さず食べることができるのも、汁ものの利点です。
特にみそ汁は、どんな野菜でも合う万能選手。調味料がみそのみで、手軽に作れるのもよいところ。牛乳や豆乳を加えてまろやかにすれば和食以外の献立にもマッチします。野菜を使ったみそ汁さえ食卓にあれば、野菜料理は一品キープできます。レタスやトマトやセロリなど生食のイメージがある野菜とも意外に相性がいいので、「レタスとわかめと油揚げ」「トマトとにらと卵」「じゃがいもとセロリ」などのみそ汁も、ぜひ試してみてください。
③まとめ洗いとまとめ切りで野菜料理の「面倒」をクリア
野菜を調理するうえで最も時間と手間がかかるのは「洗って切る」ことです。せっかく野菜を買っても、いざ食事の支度をしよう、というときには下ごしらえの時間がなく、ついつい買った野菜を取り出さないまましなびさせてしまうという苦い経験もあるのではないでしょうか。オススメなのは、調理のたびに洗って切るのではなく、一袋分まとめて洗って切っておくこと。洗って切った野菜の水気をきって、保存袋(「やさいエコバッグPプラス」など)や保存容器に入れるだけです。葉物野菜はどんな料理に使うときもだいたい同じ長さ(3cm)なのでそのぐらいに切り、根菜類はいちょう切りや乱切りなどよく使う大きさに切っておけば、調理にすぐ使えます。ごぼうも、泥を落として袋に入る長さにしておくだけで使いやすくなります。冷蔵庫の野菜室に「自家製カット野菜」をスタンバイしておくような感じですね。全部の野菜を一度にやろうと思うと大変かもしれないので、まずはその日に使う野菜でやってみてはどうでしょうか。
④野菜は上手に保存して食べきろう
生活クラブで取り扱っている消費材の「やさいエコバッグPプラス」は、フィルムの構造により野菜の呼吸が抑えられて、鮮度を長持ちさせるスグレモノ。使い捨てではなく繰り返し使えるのもよい点です。葉物野菜は冷蔵庫に入れるとより呼吸が抑えられて長持ちするそうです。
多くの野菜は冷凍保存も可能です。食べきれないほどの量があるときは、使いやすい大きさに切って冷凍しておくといいですね。解凍後は生食には向きませんが、おでんなどの煮物には、すぐやわらかくなるのでおすすめです。
野菜の調理、気になる栄養は?
調理をすると、熱や水、油が加わって、失われる栄養素もあります。ビタミンCは水に溶けやすく、熱や光、アルカリ性で変化を受けやすいので、調理による損失が大きいという特徴がありますが、なくなってしまうわけではありません。種類や条件によって変わりますが、例えば、ほうれん草を1分ゆでた場合のビタミンCの残存率は74%です。意外に残っていると思われるのではないでしょうか? また食物繊維は、調理によって減ることはほとんどありません。手軽においしく野菜の量を増やそう
栄養素を効率よく摂る調理法も気になるところではありますが、まずは、おいしく手軽な方法で、食卓に野菜の量を増やせたらいいですね。生活クラブの「ビオサポレシピ」サイトは、「食材」「料理タイプ」「調理法」「キーワード」など、さまざまな角度から料理を検索できるので、うまく活用するととても便利です。例えば、家にブロッコリーがあるけどどう料理しよう…と迷ったときには「ブロッコリー」で検索すればいろいろな料理がずらり。調理法からも探せるので、副菜に和え物が一品欲しいときに「和える」で検索してもいいですし、もちろん「ブロッコリー 和える」といったキーワード検索でもたくさんのレシピが出てきます。家にある野菜、どう食べよう?と困ったときに、ちょっと覗くとヒントが見つかるので、ぜひ活用してほしいと思います。
以下に、ビオサポレシピよりいくつか手軽な野菜料理のおすすめレシピをピックアップしてみました。他にもたくさんの野菜料理のレシピが掲載されているので、覗いてみてくださいね。
【パパッとつくりおきできる副菜】
■調理用合わせ酢で簡単!キャロットラペ
■万能つゆで簡単浅漬
【野菜がたっぷり摂れる汁もの】
■具だくさん味噌汁
■高野豆腐の具だくさんカレースープ
■具だくさん牛乳みそ汁
【加熱してもおいしい! トマトやきゅうりの料理】
■えびとトマトの卵炒め
■きゅうりと牛肉のオイスターソース炒め
【参考】
●農林水産省HP
●健康日本21(第二次)最終評価報告書概要(厚生労働省健康局健康課)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000999445.pdf
●農林水産省主催「野菜の日(8月31日)」Webシンポジウム 基調講演資料「日本人の野菜摂取量の現状と課題」(瀧本秀美氏 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部長)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai/attach/pdf/2ibent-35.pdf
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai/attach/pdf/2ibent-29.pdf
●簡単な「冷凍ワザ」で、野菜を新鮮に!おいしく!(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/wagohan/articles/2203/spe7_03.html ●『NEW調理と理論第二版』(同文書院)
●『野菜を使いきる』伯母直美(主婦と生活社)