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日本人に不足ぎみ? あらためて知る「ビタミンD」の大事な働き

健康のために普段からバランスのよい食生活を心がけているという方、多いと思います。“なるべくさまざまな食材を取り入れて、偏りなく食べることが大切”という話は、これまでのビオサポだよりでも取り上げてきました。

そんな中、2023年6月に、都内の医科大学が発表した調査結果が注目されています。それは、「98%の日本人がビタミンD不足に該当」するというもの。『そう言われると、ビタミンDってどんな栄養素だっけ…?』と思われる方もいるかもしれません。ビタミンDが不足していると、私たちの体にどんな影響があるのでしょうか? 今回はビタミンDについて考えてみましょう。
 

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける

ビタミンDの主な働きは、体内でカルシウムやリンの吸収を促進すること。カルシウムは骨や歯をつくる栄養素ですが、ビタミンDも骨の健康に大きく関わっています。カルシウムはそもそも不足しやすい栄養素である上に、吸収率が低いという特質があるので、ビタミンDの役割は重要です。ビタミンDが欠乏すると、骨の形成に影響を与えることもあります。欠乏とまではいかない場合でも、ビタミンDが不足すると、血液中のカルシウム濃度が非常に低い状態に。結果として、カルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムが溶け出して、骨粗鬆症のリスクを高めることにつながります。
 

筋力の維持に関わる働きも

ビタミンDといえば、近ごろは筋力の維持に働いていることも注目されています。筋力が低下すると、転倒しやすくなり骨折にもつながります。つまりビタミンDは、骨形成の面だけでなく、筋力維持の面からも、骨折予防に役立っているのです。加えて、心血管系・免疫系などに関する作用も報告されているようです。
 

ビタミンDは日光に当たるとつくられる

ビタミンDは、食事で摂る以外に、日光を浴びることによって皮膚でかなりの量を生成できます。ビタミンDを増やすために、適度に日に当たるように心がけたいですね。とはいえ、日照によるビタミンDの生成は、地域や季節などさまざまな条件でその量が変わってきてしまうので、やはり食事からの摂取も忘れてはいけません。

摂りすぎは健康に悪影響

日本人の多くはビタミンD不足の状態ということですが、一方でビタミンDは過剰摂取にも注意が必要です。ビタミンDは脂溶性ビタミンといって水に溶けない性質をもち、尿中への排出がされません。そのため摂りすぎると血液中のカルシウム濃度が高くなり、体内の血管壁や臓器などに多量のカルシウムが沈着して石灰化し、健康を害する可能性があるそうです。
 

サプリメントからの過剰摂取へ注意喚起も

2021年の消費者庁の調査では、未成年の多くがビタミンDを含む加工食品を摂取しており、その中には、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』で定めるビタミンDの上限量を超えている人もいたそうです。ビタミンDを含む加工食品は菓子やシリアルや飲料やサプリメントなどさまざまな種類がありますが、耐容上限量を超える摂取をしている人は、サプリメント類からの摂取量が最も多いことがわかりました。

ビタミンDなどの栄養成分を含むサプリメント形状の食品は、基本的に成人向けの配合となっているので、そのことを踏まえて、未成年者の摂取量が過剰にならないように確認が必要とのことです。併せて、「栄養摂取は、サプリメント形状の食品に頼ることなく、主食、主菜、副菜のそろったバランスのよい食事が基本であること」という呼びかけもされています。
 

ビタミンDを多く含む食品は?

では、ビタミンDを摂るためにはどんなものを食べればよいでしょうか? ビタミンDを摂れる代表的な食べものは、魚類ときのこ類です。以下に、主な食品を挙げてみました。カルシウムが摂れる食材とあわせて食べれば、骨や歯の健康のためにより効果的です。
ビタミンDを多く含む食材 含有量(µg)
まいわし丸干し3尾(100g) 50
さんま 1尾(150g) 24
鮭 70g 22
うなぎのかば焼き(80g) 15
ぶり 90g 7.2
鶏卵 1個(60g) 2.3
乾燥きくらげ 3個(1.5g) 1.3
舞茸 20g 1.0
乾しいたけ 2個(4g) 0.7
しらす干し 大さじ1(5g) 0.6
牛乳 200ml 0.6
【その他の食材】
さば水煮缶、かじき、さわら、あじ、エリンギなど。
カルシウムを多く含む食材 含有量(㎎)
まいわし丸干し3尾(100g) 440
牛乳 200ml 227
さば水煮缶 1/3缶 60g 156
水菜 70g 147
小松菜 70g 119
6Pチーズ 1ピース(18g) 113
ヨーグルト カップ1個(80g) 96
木綿豆腐 1/3丁(100g) 93
桜えび 大さじ1(3g) 60
乾燥ひじき 5g 50
しらす干し 大さじ1(5g) 14
【その他の食材】
煮干し、ししゃも、切り干し大根、大根の葉、ごまなど。

 
ビオサポレシピサイトにも、ビタミンDとカルシウムの両方を摂れるレシピが多数あります。丈夫な骨や歯のために、意識して毎日の食事に取り入れてみてもいいですね。
 

■まかじきのたっぷり野菜サラダ

ビタミンD:まかじき、きのこ/カルシウム:小松菜
まかじきのたっぷり野菜サラダ  

■いわしの照り焼きチーズバーグ

ビタミンD:まかじき、きのこ/カルシウム:小松菜
いわしの照り焼きチーズバーグ  

■鮭ときのこのワンポットクリームパスタ

ビタミンD:鮭/カルシウム:牛乳
鮭ときのこのワンポットクリームパスタ  

■パパっとチャーハン

ビタミンD:ちりめんじゃこ、ぶなしめじ/カルシウム:小松菜、ちりめんじゃこ、いりごま
パパっとチャーハン  

【参考】
●東京慈恵会医科大学報道発表資料「98%の日本人が『ビタミンD不足』に該当」
http://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20230605.pdf
●『日本人の食事摂取基準(2020年版)』P178「ビタミンD」P417「高齢者」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
●健康長寿ネット「ビタミンDの働きと一日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html
●「栄養機能食品等の摂取状況等に関する調査事業報告書(未成年者におけるビタミンDを含む加工食品の摂取状況等)」消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2020/#food210825
●日本食品標準成分表2020年版(八訂)文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

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