体をつくる大切な栄養素「たんぱく質」を上手に摂ろう!
たんぱく質は、私たちが生きていくうえで欠かせない栄養素。ただし、健康な体をつくり、維持していくためには、バランスのよい摂り方が大切です。たんぱく質をバランスよく摂るにはどういうことに気をつければいいのか、一緒に考えてみましょう。
筋肉・皮膚・臓器など体の材料になる大切な栄養素
ヒトの体は水分が約6割を占めますが、次いで多いのがたんぱく質。筋肉をつくる成分であるのはもちろん、肌や髪、爪、臓器といった体の重要な部分を形成し、骨、血液の材料ともなる栄養素です。また、酵素やホルモンなど体の機能を調節する大切な役割も果たしています。このように体にとって必要不可欠なたんぱく質。不足すると細胞の栄養状態が悪くなり、筋力も低下してしまいます。また、免疫機能が低下して抵抗力が弱くなり、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に高齢者は、肉や魚の摂取量が少なくなるためにたんぱく質が不足しがち。意識して摂るように心がけるとよいですね。
大人が必要なたんぱく質は1日およそ50g~65g
私たちが摂らなければいけないたんぱく質の量とは、どれぐらいなのでしょう? 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取するたんぱく質の推奨量を・18歳以上65歳未満の男性…1日65g/65歳以上の男性…1日60g
・18歳以上の女性…1日50g
としています。
実際私たちがどれぐらい摂っているかを、令和元年「国民健康・栄養調査」で見てみると、40~49歳の男性は1日約79.2g、女性は約65.9gのたんぱく質を摂取していることがわかります。つまり、多くの人が1日に必要な量を満たしているということ。特別な食事をしなくても、普段の食事から必要な量のたんぱく質を摂ることはできていると言えそうです。
摂り過ぎにも気をつけよう
それではたんぱく質の「摂り過ぎ」の目安はあるのでしょうか? 上記の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、たんぱく質の摂取量の上限は設けていません。ただしエネルギー比率(重量ではなく、摂取した総エネルギーに対する割合)が高すぎてしまうと、腎機能への影響も考えられます。具体的には、以下の表の、各枠内の右側の数字(「67~103」であれば「103」)が、おおむね20%に該当します。この数値を超える場合には過剰摂取に少し注意が必要ということですね。この表は身体活動レベル別になっており、I=身体活動レベルが低い、II=普通、III=高い です。
表 身体活動レベル別に見たたんぱく質の目標量(g/日)(非妊婦、非授乳婦)
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)
たんぱく質自体は1gあたり4kcalあり、またたんぱく質を多く含む食品は脂質も含むものが多いため、たんぱく質を過剰摂取するとカロリーオーバーにつながり肥満になるおそれがあります。また、たんぱく質が過剰な食事をすると、他の栄養素とのバランスが崩れ、かえって健康を損なう可能性もあります。通常の食事に加えてプロテインを飲んだり、たんぱく質が豊富な食品ばかりを摂っていたりする人は、たんぱく質の過剰摂取になっていないか、食生活を見直してみるとよいかもしれませんね。
たんぱく質は3食の中でバランスよく
たんぱく質の推奨される摂取量は、大人で1日50g~65gぐらいと先述しましたが、例えば60gのたんぱく質を摂るためには、どんな食べものをどれぐらい食べればいいか、食品構成例をご紹介します。ご飯1杯(150g)→たんぱく質3.8g
鮭切り身(70g)→たんぱく質15.6g
豚もも脂身付き(100g)→たんぱく質20.5g
納豆1パック(40g)→たんぱく質6.6g
牛乳コップ1杯(200ml)→たんぱく質6.6g
卵1個(60g)→たんぱく質7.4g
【合計60.5g】
「意外に簡単に摂れちゃう…?」と感じた方も多いのではないでしょうか。たんぱく質が含まれる食品というと肉や魚のイメージが強いですが、実はご飯や牛乳なども含めたさまざまな食品に含まれているので、バランスのよい食事を3食きちんと食べていれば十分に補えることが多いのです。1日の必要量を1食だけで摂るのではなく、朝・昼・夜の3食でおおよそ均等に分けて摂取することも大事です。
「良質なたんぱく質」とは何を指す?
よく「良質なたんぱく質を摂取しましょう」という言葉を聞きますが、良質なたんぱく質とはどんなものなのでしょうか。私たちがたんぱく質を含む食べ物を食べると、体内でたんぱく質はアミノ酸に分解されて、全身に運ばれます。そしてそのアミノ酸はそれぞれたんぱく質に再合成され、私たちの身体の筋肉や髪の毛などを形成します。そのため、十分なアミノ酸が摂取できていないと、身体に必要なたんぱく質を再合成することができないのです。また、人の体内でたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類ですが、特に9種類の必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。この必須アミノ酸がバランスよく含まれるたんぱく質が、「良質なたんぱく質」なのです。肉類、魚介類、牛乳・乳製品、卵類や大豆・大豆製品などがあげられます。
たんぱく質を含むいろいろな食品を食べよう
「たんぱく質は大事」というと、プロテインなどの摂取が必要なのかと思いがちですが、たんぱく質は普段の食事の中で十分に摂れるということがわかりましたね。また、たんぱく質以外の栄養素にも注目してほしいのですが、食べ物によって含まれる栄養素は異なるので、「肉だけ」とか「魚だけ」というのではなく、さまざまな食品をまんべんなく食べることが健康のためにおすすめです。たんぱく質を含む食材を使った、毎日の食事に取り入れやすいメニューを、生活クラブの「ビオレポレシピ」からいくつかピックアップしました。「おいしそう!」とか「食べてみたい!」と思ったら、ぜひ作ってみてください。さまざまな食品を食卓に取り入れて、バランスのよい食生活をめざしたいですね。
鶏肉
鶏肉は皮を除けば高たんぱく低カロリーでうれしい食材。特にムネやササミといった部位は脂質が少なめです。●鶏肉と野菜のカレー炒め
●キャベツたっぷりマヨ玉鶏照り丼
魚介類
魚介類も良質なたんぱく質を含みます。食べやすい鮭やほたてに、野菜も合わせたバランスのよいレシピを。●鮭の味噌ちゃんちゃん焼き
●炙りほたてのサラダ
大豆製品
豆腐、豆乳、納豆などの大豆製品も、たんぱく質が豊富。肉や魚の動物性たんぱく質と、大豆製品などの植物性たんぱく質をバランスよく摂るといいですね。豆腐をたっぷり使った鍋や、豆乳を使ったデザートはいかがですか。●牛肉と春菊のスンドゥブチゲ鍋
●豆花(トウファ)
【参考】
●厚生労働省 e-ヘルスネット
「たんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
●健康長寿ネット
「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
「主菜(肉・魚・卵・大豆料理)の摂取量の目安」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/niku-sakana-tamago-daizu.html
●国立長寿医療研究センター
「【認知症予防】良質なたんぱく質とは?」
https://www.ncgg.go.jp/cgss/department/ep/topics/topics_edit09.html