災害時こそいつもの味で安心を! 「回転備蓄」は何をどれぐらい?
スーパーやコンビニが近くにあっても、災害時には食品が手に入らないことが考えられます。いつ起こるかわからない災害に備え、食料を備蓄している方も多いかもしれませんね。みなさんはいかがですか? すでに備蓄をしている人も、これからしようと考えている人も、実際に何がどれぐらい必要なのか確かめておくことは大切です。
日常の食生活に備蓄を取り入れる「回転備蓄」
以前の感覚だと、食料の備蓄は、普段の食事とは別の非常時用の保存食を備えておくイメージがありました。しかし最近では、毎日の食生活の中に食糧備蓄を取り入れるという考え方が広がっています。普段から少し多めに食材などを買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく「ローリングストック」という方法です。生活クラブでは「回転備蓄」という呼び方でこれまでも積極的に推奨してきました。「回転備蓄」は、家に置いておく食料を一定量に保ちながら、消費と購入を繰り返す防災の考え方です。この方法だと、常に備蓄品の鮮度を保てるのがよいところ。また、いざという時も日常に近い食生活が送れるというメリットもあります。
自分に合ったルールで無理なく循環させる
回転備蓄のポイントは2つ。まずは「古いものから使う」こと。収納するときに新しいものを入れる場所や向きを決めておくなど、自分に合ったやり方で循環させ、無理なく古いものから使っていくようにしましょう。そうすると、使いそびれて無駄にすることもなく、おいしいうちに食べられます。もうひとつのポイントは「使った分は必ず補充する」ことです。ちょっと補充を怠ったタイミングで災害が来ることもあるかもしれないので、消費したら忘れないうちにすぐ補充したいですね。食料だけでなくカセットコンロとカセットボンベも
食材を備蓄しておいても、災害時はガスや電気、水道が止まり、いつもと同じようには調理できないことも考えられます。そんな時に役立つのがカセットコンロ。寒い時期には鍋物などで使うことも多いと思いますが、暖かくなってもカセットボンベは忘れず常備しておきたいものです。災害時こそ、食事で心と体のエネルギー補給を
政府広報オンラインによれば、災害時のことを考えると、最低でも3日分、できれば1週間分くらいの食品を家庭で備蓄しておくことが重要とされています。災害が起き、日常とはかけ離れた生活が強いられる場合でも、いつもの食事に近い温かく栄養バランスのとれた食べ物があれば、心と体が満たされ元気に活動するためのエネルギーがわいてくるので、とても大切だということです。家族の人数や好みも考えあわせて、備蓄に必要な内容や量を確かめてみましょう。大人2人、1週間分の備蓄の目安は?
【水とカセットボンベ】
水は飲料水と調理用水として1人1日3L程度が必要とされています(食器を洗ったりする水は含まない)。意外に多いと感じた方もいるのではないでしょうか? 水道水は塩素による消毒効果があるので、保存方法に注意すれば3日程度は飲料水として使えます。その他、ペットボトルや缶入りの水分を備蓄しておくと安心ですね。
カセットボンベは、1人1週間あたり約6本が必要とされています。お湯を沸かしたり、レトルト食品を温めたり、即席麺の調理などができます。食品調理用のポリ袋などを使えば食事の幅が広がります。
【主食】
ごはん、パン、麺類は、大切なエネルギー源です。例として、大人2人分の場合は「米4kg、即席麺6個、パックご飯6個、乾麺(素麺、パスタなど合わせて)1800g」とされています。主食の分量としては多いと感じると思いますが、飽きずに主食を食べ続けられるようにと配慮されているそうです。冷凍保存のパン類は自然解凍で食べられるものが多いため、冷凍庫にあると、電気が使えなくなって解凍されても少しの間は大丈夫そうですね。
【主菜】
災害直後は、パンやおにぎりなどの炭水化物ばかりになりがちで、栄養バランスが崩れて体調不良になる可能性もあります。そんなときのために、手軽にたんぱく質が摂れて常温で長期保存できる缶詰を備蓄しておきましょう。まぐろやさばなどの魚介類、コンビーフなどの肉類に加えて、豆類もおすすめです。肉や魚や豆を使ったレトルト食品も便利ですね。例として、大人2人分の場合は「肉・魚・豆・野菜などの缶詰18缶、カレーやスープなどのレトルト食品18個、パスタソースなどのレトルト食品6個」とされています。
【副菜と果物】
災害時には野菜不足が想定されます。ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が摂れないため、便秘や口内炎などに悩んだという声もあるそうです。そうならないために、野菜も常備するよう工夫してみましょう。じゃがいも、玉ねぎ、かぼちゃなど、常温で日持ちする野菜を多めに買っておくと安心です。果物も同様に、りんご、みかん、柿、キウイフルーツなどの買い置きがおすすめ。野菜や果物のジュース、缶詰、ドライフルーツなども常備できるといいですね。
【その他】
・調味料:砂糖、塩、酢、醤油、みそなど、いつも使っているものを切らさないようにしましょう。
・フリーズドライの汁物:みそ汁やスープなど、家族の好みで揃えておくといざという時に助かります。
・嗜好品:飴、ようかん、せんべい、チョコレート、ビスケットなど、お気に入りのものがあると災害時にホッとできます。
乳幼児や高齢者のいる家庭での注意
災害時だからこそ、乳幼児や高齢者、また、慢性疾患を持っていたり、食物アレルギーがあったりする人の食事は大切になります。できるだけ普段の状態に近い食事ができるように備えておけば、いざという時の安心感が違います。それぞれの人に合った食品を最低2週間分、備蓄することをおすすめします。【乳幼児】
普段は母乳中心の場合でも、粉ミルクや液体ミルクを使うことも想定しておくと安心です。離乳食はびん詰やレトルトのものを多めにストックしておきましょう。普段から食べ慣れておくといいですね。子どもは好きな食品や飲み物があると災害時でもリラックスしたり安心したりできるといわれているので、備えはとても大事です。
【高齢者】
一般の家庭での備えと大きな違いはありませんが、体力が落ちたときなどを想定して、レトルトのおかゆや即席のみそ汁などがあると安心です。好みもありますが、体が弱ったときにどんなものが食べたくなるか想像して、備えてみましょう。
あらゆる世代が食べやすい「美食百彩」がおすすめ
家庭それぞれの家族構成や年代、普段の食生活に合わせ、積極的に回転備蓄できると安心ですね。生活クラブの消費材の中で、普段食べるのにも備蓄にもちょうどよいのが、大人から子どもまであらゆる世代の健康な食生活をサポートするために開発された「美食百彩」シリーズ。不足しがちな栄養を補えるように考えられ、食べやすく加工されているのが特徴です。シリーズの中でも常温で長期保存できるものは、回転備蓄に活用しやすくおすすめ。例えば「牛バラ肉のやわらか煮」は、一品でたんぱく質(牛肉)も野菜も摂れ、常温で270日保存できます。ぜひ実際にいろいろ食べてみて、気に入ったものを回転備蓄アイテムに加えてみてください。「牛バラ肉のやわらか煮」
牛バラ肉をとろっとやわらかくなるまで煮込みました。大根・人参・ごぼうなどの野菜も入っています。常温保存可。賞味期限 270日
「やわらか豚なんこつ煮」
箸でもほぐれる柔らかさで食べやすい煮物。レンジまたは湯せんで温めるだけで食べられます。常温保存可。賞味期限 180日
「にしんと昆布の煮付け」
加圧調理しているので骨まで食べられるやわらかさで、開封するだけで食べられます。常温保存可。賞味期限 180日
「切り昆布と大豆の煮物」
国産大豆、みついし昆布、人参をやわらかく煮付けた副菜です。常温保存可。賞味期限 180日
「鶏と大根の煮物」
鶏モモ肉と大根を一口大にカットして、やさしい味でやわらかく煮付けました。常温保存可。賞味期限 180日
おなじみの缶詰は普段使いしながら回転備蓄を
回転備蓄にぴったりのアイテムといえば、長期保存できていざという時には開けてすぐ食べられる缶詰。ただ、しまいっぱなしにしていると消費期限を過ぎてしまうこともあるため、普段の食事でも積極的に活用して、使った分を補充するという「回転」を意識したいですね。ビオサポレシピの中から、缶詰を使ったレシピをいくつか紹介します。日々おいしく活用しながら、災害時の備えもしていきましょう。●さば水煮缶
キャベツとさば缶の簡単野菜炒め
さば缶のトマトカレー
●無塩せきコンビーフ缶
コーンコンビーフ炒め
コンビーフと小松菜のチャーハン
●オイルいわし缶
いわしと卵ののっけもりご飯
●大豆ドライパック缶
大豆でフムス風
豚肉と大豆のクリームシチュー
【参考】
●日本気象協会
https://tenki.jp/bousai/knowledge/49a23a0.html
●政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202103/2.html